原発通信最新号

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原発通信365号 2012/12/27

茂木経産相、エージェントぶりをさっそく発揮

 組閣が終わって早々の記者会見で、早速、「政府の責任で再稼働」と茂木経産相です。そして甘利明との両輪で原発マフィア派勢力の挽回をもくろんでいるのでしょうが、そうさせてはなりません。そのために私たちができることをすべてやっていかなければなりません。季節外れの盆踊りを踊ろうなどとしてはなりません。進むべき道を巧妙にずらそうとする策略をきちんと腑分けしていかなければなりません。来年夏の参議院選までは猫をかぶっていることでしょう。ということは、半年以上の時間があるということです。

「東北電力は安全に原子力を扱えるのか、危惧を覚える」──規制専門家

 東通原発敷地内の断層を調査している規制専門家からは、東北電力のいい加減さに、東北電力は「安全に原子力を扱えるのか、危惧を覚える」などと苦言が相次いだといいます(下記)。


▶第2次安倍内閣 経産相、安全性確認の原発は政府の責任で再稼働へ

産経新聞 12月27日(木)8時50分配信

【原発の再稼働について、原子力規制委員会の安全性の確認を前提とした上で「政府の責任で再稼働する」との方針を示した。枝野幸男・元経産相は、個々の原発の再稼働判断に政府が関与しない方針を示していたが、自民党政権で方針転換することになる】

【中国電力上関原発(山口県)など計画段階の9基の新増設については「今後、専門的な知見を十分蓄積した上で、大きな政治的な判断になる」と将来的な政策変更の可能性を示唆】

▶30年代原発ゼロを再検討=核燃料サイクルは継続―茂木経産相

時事通信 12月27日(木)4時12分配信

【2030年代に原発ゼロを目指すとした民主党政権のエネルギー戦略について「再検討が必要だと考えている」と述べ、見直しを進める姿勢を示した。使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクル政策は「今、放棄する選択はあり得ない」として、継続する方針を表明】

▶未着工原発の凍結方針、白紙に 茂木経産相、建設に含み

朝日新聞デジタル 12月27日(木)2時50分配信

【全国で12基計画されている原発の新増設のうち、着工前の9基の建設について「いまイエス・ノーを決めるのではなく、専門的知見を蓄積して今後の大きな政治的判断になっていく」と】

▶第2次安倍内閣 原発再稼働 議論本格化は参院選後

産経新聞 12月27日(木)7時55分配信

【「来夏には参院選も予定されており、それまでは従来の方針を一変させて再稼働を進めるのは難しい」(経済官庁幹部)との見方が強く、再稼働をめぐる議論が本格化するのは参院選後となる可能性が高い】

 経産省の幹部が言わなくともそんなことは「常識」でしょう。当選することのみが目的の「政治家」と称する連中なら。ということは、そんなことを考えもしないで、決める政治だ、解散だ、選挙だ、と言って打って出た野田民主党政権は「政治家」の集まりになってしまいますが、そうでもないでしょう。単なる世間知らずというところでしょう。(下記、「特集ワイド:反省と奮起、民主の2人インタビュー」参照)

▶安倍新内閣:経産省、巻き返し狙う…TPP、エネ政策で

毎日新聞 2012年12月26日 20時52分

【官邸人事では、首相秘書官の筆頭格である政務秘書官に、今井尚哉(たかや)・前資源エネルギー庁次長(82年入省)が就く予定。将来の事務次官候補とされるエース官僚で、06~07年の前回安倍政権時にも事務秘書官として官邸入りし、自民と深いパイプを持つ。事務秘書官には、柳瀬唯夫経済産業政策局審議官(84年入省)が入り、異例の「2人秘書官」体制を実現する方向だ】

【「日本経済再生本部」の担当閣僚は元経産相で、商工族の甘利明経済再生相。本部の事務局には、審議官ら複数の幹部を送り込む見通しだ。本部は、安倍政権最大の目玉である、経済再生を担っており、首相自ら本部長を務めている。成長戦略など経済政策作りでの経産省の影響力が増しそうだ。茂木敏充経産相も、エネルギー、産業政策や知的財産戦略に詳しい商工族として知られている】

【省内には「仕事がしやすい」「安倍政権は長く続いてほしい」(幹部)との歓迎ムード】

▶安倍内閣に原発城下町の声「勇気を持って再稼働を」

産経新聞 12月27日(木)10時30分配信

【原発3基が立地する福井県敦賀市。建設資材会社会長、小森英宗さん(64)は「このあたりは昔、一面田んぼで山まできれいに見えていた。中核となる産業がない町が発展できたのは原発があったからこそだ」と語り、安倍内閣に対し原発再稼働への期待】

【「地域経済が止まり、“死”を宣告されているようなものだ。新政権には原発を悪者にする国民視線を気にせず、勇気を持って早く再稼働を決断してもらいたい」と】

 ハイリスク・ハイリターン? 本人たちはローリスク・ハイリターンなどと思っているのでしょう。はっきりしていることは3.11後を知っててその道を選択するということです。別の道を探ることもせずに、それを政治に求めるわけでもなく。何度も繰り返しますが、原発は自己決定・自己責任の世界で終わらないというところが問題なのです。いや、むしろ、自己責任と問われないということを3.11後知ってしまったとも…。となると…。


規制委 活断層調査

 今のところ、島崎委員長代理を中心とする調査団はしっかり仕事をしている感じです。

 「『絶対に活断層の可能性はないという東北電力の姿勢には、安全に原子力を扱えるのか、危惧を覚える』など、東北電力に苦言を呈す意見も相次」いだといいます(NHKTV 下記)。

▶東通原発 “活断層の可能性”最終判断

NHKTV12月27日 5時13分

 規制委の調査団が活断層と最終判断したことに対して、東北電力はボーリングした資料を見せ、「ダイジョウブ」とやったのですが、調査団から「この部分だけ固結(固い)というだけで他も同じ状況と類推するのはちょっと無理」と言われる始末(1分26秒当たり)。

【規制委員会の島崎委員は、「東北電力の説明には、われわれの、『敷地内の断層が、全体として活断層としての活動をしている』という認識を否定できる根拠は、無かった」と述べました。
 これに対し東北電力の梅田健夫副社長は、「活断層かどうかの議論を、いつまでやっても切りがないので、どれほど影響があるか調べたい」と】

 まるで、子どもの喧嘩で形勢悪くなったほうが、「じゃ、こっちだ」と言っているような程度です。

▶東通原発 活断層判断のポイントは

NHKTV12月26日 22時1分

【東北電力は地下深くの地層を抜き取ったボーリング調査の結果を示して「断層は深いところで固まっているうえ、新しい時代にずれた痕跡が見つからないことから、活断層ではない」と主張しました。
これに対し専門家から「地層のずれは別の場所でも見つかっていて、途切れず続いている」、「1か所で新しい時代のずれが認められないからといって、断層が動いていないとはならない」という指摘が相次ぎました。
さらに専門家から「安全サイドに立てば、同じような地層のずれが連続するという可能性を、検討すべきではないか」】

 そして、最後には、専門家から、こんな連中に原子力が扱えるのかと言われる始末です。

「絶対に活断層の可能性はないという東北電力の姿勢には、安全に原子力を扱えるのか、危惧を覚える」など、東北電力に苦言を呈す意見も相次ぎました

▶東通原発:東北電反論も活断層存在と結論…規制委調査団

毎日新聞 2012年12月26日 19時59分

【東北電は「活断層ではない」と改めて反論した。しかし、調査団は「活断層の可能性を否定しきれていない」との見解で一致し、敷地内に活断層があると結論づけた】

【東北電の梅田健夫(たけお)副社長は会合の最後に「説明に不十分な部分があった。さらに議論したい」と求めたが、島崎氏は「追加調査はしていただくが、現時点での判断は下す」と取り合わなかった】

▶「活断層」判断変えず=東北電の反論否定―現状なら再稼働認めず・規制委

時事通信 12月26日(水)16時32分配信

【記者会見した団長役の島崎邦彦規制委員長代理は、東北電が活断層を考慮せず再稼働を申請した場合の対応について、「それは違うと言わざるを得ない」と述べ、再稼働は認められないとの考えを示した】

【東北電は会合で(1)問題の破砕帯の地層は地下深くで固くなっており、最近動いたとは考えられない(2)破砕帯は所々で途切れており、調査団の主張ほど長くない(3)活断層を示す横ずれは認められない―などと説明。隣接する東京電力東通原発(同)に延びているとされる破砕帯の地層のサンプルを示し、活断層ではないと主張】


▶原子力規制委:全原発の地下構造把握へ…田中委員長

毎日新聞 2012年12月26日 18時41分(最終更新 12月26日 18時45分)

【田中俊一委員長は26日の記者会見で、全ての原発について「地下の立体的構造を調べ直した方がいい」との考えを示した】

【最近、東京電力柏崎刈羽原発や中部電力浜岡原発で、地下構造が原因で想定以上の揺れを観測したことを受けた発言で、再稼働の要件に加える可能性にも言及】

▶敦賀原発:活断層 判断根拠や基準の説明を要請…敦賀市長

毎日新聞 2012年12月26日 18時35分(最終更新 12月26日 18時52分)

 人は姿・形で判断してはならないとは言います。しかし、人は、どう生きてきたかはある歳を重ねた後は、姿・形に出てくるものです。どなたのことのことを言っているかは申しません。この記事の写真をご覧ください。


東京電力 賠償問題

 また追加支援要請です。当たり前というか、算定した額そのものがいい加減なのですから。放蕩息子が、親に「金つかっちゃった。もっとカネよこせ」と言っているようなものです。親としても自分がそそのかした負い目があるし、息子はそれを盾に取っているという構図です。いずれにしても、自分は身を粉にして稼いだ金ではなく、税から──、その意味では真剣さがないといえるでしょう。そして、この7000億円ではまだ済まないということも事実です。

▶東電:7000億円追加支援、年内申請へ 福島原発賠償で

毎日新聞 2012年12月26日 21時15分

【原子力損害賠償支援機構に対し、福島第1原発事故の賠償費用として7000億円弱の追加支援を要請する方針を固めたことが26日、分かった。年内に申請し、年明けに正式決定される見通し。資金援助額は今回で累計3兆円を上回る計算だが、今後さらに膨らむ可能性がある】

 でも、原発は安い、と。

▶東電:賠償請求書発送は越年

毎日新聞 2012年12月26日 20時53分

【年内が目標だった請求書発送が越年すると発表した。自治体との協議が難航し、発送に必要な住民の個人情報入手が遅れているため。発送は数カ月遅れる見通しで、被災者への支払いは当分先】

こすからい連中がするとおりのことをやっています。貰えるものは何でも、出すものはベロ出すのもいや、と。

▶福島第1原発事故 東電賠償、県に初めて支払い 工業用水分76万円 /岩手

毎日新聞 2012年12月26日 地方版

【東電に請求した11年度分の賠償金5億730万円のうち、工業用水の放射線測定や汚泥の保管・処分にかかわる費用など計76万円】

 請求した分の何パーセントになるか計算してみましたが、小数点以下ゼロがたくさんつくので、意味ないのでやめました。


「ああ、民主党」 この程度の認識だったのですか

 反省の弁というか、言い訳というか。

▶特集ワイド:反省と奮起、民主の2人インタビュー 菅直人元首相/仙谷由人元官房長官

毎日新聞 2012年12月26日 東京夕刊

■菅直人元首相――2大政党制、あきらめたくない

◇逆戻りできぬ所まで持っていきたかった「原発ゼロ」

【──こんなことなら、自ら「脱原発」解散をしていたらと思いませんでしたか?

 首相在任中、そういう意見を強烈に言ってくる人もあって、私の頭の中の選択肢に多少ありました。どういう状況なら踏み切れるかという具体的なところまでじゃなく、あくまで仮定として。ただ民主党全体として脱原発で戦うだけの足並みはそろってはいませんでした。だから、やるなら首相の私が離党して「原発ゼロ」党をつくらないといけないと考えたが、そうすると2大政党制の実現にこだわってきた自己否定になる。結局、難しいなあ、と。】

 二大政党制の幻想・幻影から逃れられなかった誠にみじめな姿――醜態と言わずしてなんといえばいいのでしょう。自民党は、最後はカネでまとめることができたが、俺たちはそれができなかったと。挙句は、記者に優等生的ですねと言われる始末です。

■仙谷由人元官房長官――政治家、政党 コストかけ育てて

◇法律、経済、歴史哲学 学んでなかったリーダー、厳しかった

 この仙谷という人は、挫折とか、思い通りにならないこともあるということをほとんど経験したことがないのじゃないのというくらい、すべては“人のせい”です。俺は一生懸命やった、でも時代が悪かったと総括です。

【選挙制度の問題だけでなく、メディアと有権者の問題がある。自分がどのようにして政策決定に参画するのかを考えないと民主主義は成り立たないのではないか。甘えるなとか言われるけれども、政治家や政党をコストをかけて育てるという意識を持ってほしい。ある種の政治エリートを育成するシステムが必要だ。少なくとも若いときに、法律、経済、歴史哲学をきちんと学んでいない人はトップリーダーにはなるべきではない。その点、90年代以降の日本のトップリーダーは厳しい評価を受けざるを得ない】

 確かに一理あるかもしれません。しかし、民意以上の政治家しか持てないとも言われています。とすると、民意の向上をどうするかということをも考えないと、と思うのですが。そしてそれをどう…。まさに難問です。


▶ゴミ:原発あると多い!? 1人当たり排出量 “幽霊”人口影響か /福井

毎日新聞 2012年12月26日 地方版

【原発立地自治体では、1人当たりの家庭ごみ排出量が多い?──。福島第1原発事故前の2010年度の県の統計で、一般廃棄物の排出量を人口1人当たりで計算すると、原発立地市町が上位を占めていることが分かった。住民票を移さず長期滞在する原発作業員が統計上はカウントされない“幽霊”のような存在となり、1人当たり排出量を押し上げた可能性がある】

 言われてみればその通りです。でもその処理費だって、原発交付金でするのですから、彼らにしてみれば―No problemです。