キャパ&タロー展

P1000488

 土曜日に、横浜美術館で「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展を見る。NHKスペシャルでも関連番組(「沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚」)が放映されたので、私の周囲でも関心が高い。沢木の番組では、キャパといえばこの1枚と言われるほど有名な「崩れ落ちる兵士」が、実は実戦中に撃たれたのではなく、演習中にけつまずいた兵士を捉えたショットであることが、さまざまな角度から証明される。私もそれまでずっと撃たれたものだと思い込んでいた。いや、私だけではなくほとんどすべての世界の人が。沢木はまた、この写真が実はキャパではなく、ゲルダの作品であったのではないかとまで推理する。

 そのような謎解きがあったからといって、その写真の「価値」が減じるものではない。写真は、反ファシズム・プロパカンダという当時の社会情勢のなかで一人歩きしていくのだが、まさにその過程にこそ、社会的意義があった。世界にファシズムの台頭を知らしめたという一点で。あるいは、この1枚で戦場カメラマンという職業が確立したという点でも、意義は深い。

 写真展には、キャパほど多くはないが、明示的にゲルダが撮ったことが確認される写真も展示されている。スペイン内戦のブルネテの戦いで、共和国軍の戦車にぶつかって26歳で死んだ(死因については異論もあるらしいが)、世界で初めての女性戦場写真家。前線でつかのまの休息をとる彼女の美しい横顔からは、昨年シリアで死んだ女性ドキュメンタリストのことを思い出さざるを得ない。