年末年始は、これまでTVから撮りためておいた映画をいくつか消化した。といっても、未見の映画がブルーレイディスクに280本以上溜まっている。すでに観たものは、そのうちたぶん2割程度ではなかろうか。これからも週に数本ずつ増えていく。おそらく一生かかっても追いつけない。とうてい見きれないものをなぜせっせと録画するのかと問われても困る。答えは、ただ、そこに映画があるからだ。
それはともあれ、よかったのは、『マイ・ブラザー』(2009年/ジム・シェリダン監督/ナタリー・ポートマンら出演)と『ある愛の風景』(2004年/スサンネ・ビア監督/コニー・リールセンら出演)だ。
後者のデンマーク作品を前者がハリウッド・リメイクしたという関係。ストーリー展開もほぼ同じ。通常リメイク版っていうのは、優劣がはっきりするものだけれど、これはどちらも甲乙つけがたい秀作。女優の演技としては、無口なコニー・リールセンよりもナタリー・ポートマンにやや軍配が上がるが……。
名作『ディア・ハンター』を彷彿とさせる反戦映画とカテゴライズしてもいいが、夫婦・兄弟の関係がより丹念に描かれている。
他には、『あの日、欲望の大地で』(2008年/ギジェルモ・アリアガ監督/シャーリーズ・セロン主演)がよかった。『21グラム』『バベル』でも見られた、多重時制法のシナリオの巧みさに見事にやられた。キム・ベイシンガーの落魄した人妻役の演技も見ものだ。
『シリアスマン』(2011年)は、コーエン兄弟の新作ということで期待してたけれど、ハズレだった。
そういえば、BS11に「ジェイ・シネカノンシアター」という番組があって、倒産したシネカノンの作品を毎週放送している。
先の『ある愛の風景』もそれで録画してたのだが、リストをみるとシネカノンは内外の秀作を一貫性をもって集めて、配給していたことがあらためてわかる。
このリストの中では『奇蹟のイレブン 1966年W杯北朝鮮VSイタリア戦の真実』というサッカー・ドキュメンタリーが興味深かった。イタリア戦に奇跡的に勝ったものの、ベスト8で敗れた北朝鮮チーム。選手たちの情報はその後、西側世界から途絶え、強制収容所に入れられたなどのデマも飛び交うが、どっこいちゃんと生きていた。撮影は2002年前後だけれど、このころはまだ平壌にも明るい雰囲気があったのかなという感じがする。
それにしても民放(WoWoW以外)のTV映画放送は、途中でCMを入れるから困る。せっかく映画の世界に入りかけている視聴者にとっては興ざめ以外の何ものでもない。「ジェイ・シネカノンシアター」も、実にくだらないCM入り。再生の前にできるだけカットするようにしているのだけれど、取りきれない。CMを入れるなというのは無理な注文だが、せめて本編の後か先にまとめておいて欲しい。それが映画ファンへのせめてもの配慮だろう。