27. 2月 2012 · Write a comment · Categories: TV

 先週の「朝まで生テレビ」の途中からの録画を見た。テーマは「絶望の国の若者の幸福と夢」だとか。

 パネリストの一人、古市憲寿の著作『絶望の国の幸福な若者たち』がたたき台。40代は夏野剛と宋文洲と東浩紀あたりで、あとは20代、30代。司会の田原聡一郎の若い息子ぐらいの世代か。田原の説教調で独善的な司会ぶりは相変わらずだが、若い評論家たちの話に全然ついていけないし、終盤は議論の総括もできず、東浩紀に頼むほど。

 その老害ぶりは甚だしい。タヌキ政治家どものスキをつついて恫喝するという彼の話芸が、このメンバーでは活きない。歴代の首相を自分の発言で退陣に追い込んだとか自慢しているのだが、ウソつけ。娘の結婚式の来賓に招いた中曽根にはこびへつらっただけなのに。そろそろ「カーネーション」の糸子のように引退を自覚すべきではないか。無惨。

 若いパネリストもしかしけっこうなタヌキ揃いだ。猪子寿之、荻上チキ、東浩紀、古市憲寿が東大出身。幸福な高学歴評論家と勝ち組若手ベンチャー経営者が、こぞって不幸な若者をいじり、絶望の淵に残った彼らの手を踏んづけている構図。荻上チキはまだまともな方だったが、議論の整理をして事たれりとする「東大話法」から抜けきれない。それを隣の焼肉屋に「いらつく」と批判されたりする。

 可哀想なのは千葉麗子で、なんでこんなところに出てきたんだろう。放射能の不安を語るが、明治乳業の粉ミルクに放射能が混入した事件を「雪印」と誤認して、後で謝罪するハメになり、早速ネットで叩かれている。これも無惨。

 パネラーの多くが話の合間にスマートフォンでカチャカチャtwitterを覗いているのも、「若者」らしい。Twitterでメッセージを受け付けるという番組の趣向もあったのだろうが、そんなものは、手元のモニターに流せばいいだけの話で。

 全体的に何を議論しているのかテーマ設定が曖昧で、パネラーにも真剣味が感じられなかった。人選の間違いともいえるし、どうやったって田原が司会ならこうなるともいえる。

 しかし、この番組よく続いているわ。

07. 3月 2011 · Write a comment · Categories: TV · Tags:

昨晩、NHK教育のETV特集選で「枯葉剤の傷痕を見つめて〜アメリカ・ベトナム 次世代からの問いかけ」を見る。ベトナム戦争当時、ゲリラ掃討目的で大量に散布された枯葉剤による被害は今もなお続いている。その被害は当時の大人だけでなく、その子供、さらには孫の代に至るまで、奇形児の出産などの形で広がる。ベトナムの病院に保存されているホルマリン漬けの奇形胎児の映像は目を覆う。

被害はベトナム人だけに発生したわけではない。枯葉剤を共に浴びた帰還米兵の子供たちにも、影響が出ているのだ。

米政府は90年代に帰還兵およびその子供への枯葉剤被害を認めたが、その認定範囲は限られており、公的な補助はほとんど行われていない。ダウ・ケミカル、モンサントなど枯葉剤を製造した化学メーカーも、80年代の集団訴訟に対して、被害を認めぬままを和解に持ち込むことで、加害責任を免れている。またベトナム人被害者からの訴訟に対して、アメリカの裁判所は「国家の戦争遂行の意志決定プロセスを損ないかねない」とこれを門前払いにした。

国家の戦争犯罪を問うことが、アメリカの法律システムではできない、という番組での解説にも驚いた。アメリカよ、他の独裁国家を笑っている場合ではない。

番組では、被害二世にあたるアメリカ人女性(先天的に手指や片足の損失という障害がある)がベトナムの被害者たちを訪れる旅に、『花はどこへいった』のドキュメンタリスト・坂田雅子さんが同行取材する様子をたどる。自分と同様の障害をもつ子供に接し、その米国女性は「ここに来てはじめて被害の共有ができた」と涙するのだった。坂田さんもまた、ベトナム従軍時に枯葉剤を浴びたと想定される米国人の夫を肝臓癌で亡くしている。

世代を超えて及ぶ枯葉剤の被害について、私は初めて知り、大きなショックを受けた。ドクとベトの話には、まだ終わりがないのだ。